「お兄ちゃんをどんなふうに思ってるかを言うだけだよ?」



単なる興味から出た質問で、まさかの形勢逆転。



彼女は目を泳がせ、俯いた。



「……一緒にいたい、笑顔でいてほしい」



照れからなのか、今にも消えてしまいそうなくらい、小さい声だった。



さっきのあの勢いはどこに行った。



「へー……」



聞いておきながら、その反応はどうかと思う。



「……もういいでしょ!」



すると、彼女は荷物を持って、出ていった。



あれは二度と来ないな。



「逃げちゃった」


「追い出したくせに」



叶花は首を傾げた。



……なぜそんな顔ができる。


無自覚なのか?


追い詰めたこと。



……ただの興味本位って怖いな。



いや、そんなことより。



「叶花、どういうつもりだったんだ」


「なにが?」



……そこまでとぼける気か。


冗談だろ。



「なんであそこで俺を止めたんだ。どう考えても、止めるのはあの人のほうだったろ」