そう話す叶花は、ありえないほど無表情だった。
血の気が引いてくのがわかった。
彼女のときとは違う、恐怖を感じた。
「それでもお兄ちゃんに振り向いてもらえなくて、私に直接攻撃。私がお兄ちゃんに、来ないでって言うよう仕向けようとした」
それはまた無謀な。
誰であろうとウェルカムな叶花が来るな、なんて言わないだろ。
叶花の言ってることが当たりなのか、彼女は下唇を噛んでいる。
「本当にお兄ちゃんが好きなんだね」
その言葉に、彼女は顔を赤くした。
……ここまでしといて、なにを今さら照れてんだ。
バレないと思ったのか。
あー……そっか。
俺たちが恋愛ってのに興味がないことを知ってるから、油断したんだな。
「ねえ、亜美さん。人を好きになるってどういうこと?」
叶花は落ち着いた表情で、そんなことを聞いた。
……なんて質問しやがる。
彼女も戸惑ってる。
「それは……」
「わかんないの? それなのに、お兄ちゃんが好きって言うんだ?」
立場逆転か。
これじゃまるで、叶花が彼女をいじめてるように見える。



