「あなたの両親、亡くなってるんだってね」
俺たちを見下すような顔。
それだけじゃない。
声も、なにかを企んでることを感じさせるものだった。
……止めないと。
「おい、あんた……」
「蓮くん、ちょっと黙って」
だけど、俺の言葉は叶花に止められた。
なんで俺なんだ。
黙るべきは俺じゃないだろ……!
そう思うのに、俺は叶花の言うことに素直に従い、口を閉じた。
「ねえ、亜美さん。回りくどい言い方、やめよ? こんな話題に時間使いたくないの」
じゃあ話させるなよ。
なんで聞くんだよ。
意味わかんねえよ……
「それもそうね」
彼女はどこか楽しそうにした。
……狂ってやがる。
「もうあなたのことを心から愛する人なんていない。櫻木がここに来てるのは、あなたが妹で無視できないからよ」
「あんた、勝手な……」
「蓮くん!」
また遮られた。
それも、言い聞かせるような感じじゃなく、力みたいなもので押さえつける感じ。
なんで俺が悪いみたいに言うんだ……
聞きたくなきゃ、俺が出てけばいい話。
でも、今二人きりにさせたらいけないと思うから。
だから、我慢してでも……
「……あなたも、無理してこの子に構わなくていいんだよ」



