「蓮くん! こっこ!」
俺たちの心配が無意味に感じる歓迎を受けた。
叶花はいつもと変わらない、元気な声で俺たちを呼んだ。
「ごめんね、二人とも。お兄ちゃんに聞いたの」
「いや、気にするな」
叶花の病室は前と似たようなところで、俺はいつもの、窓辺の椅子に座った。
「こっこも……て、こっこ!?」
叶花が驚いた声を上げたから、俺はドアの前で立ち尽くすこっこを見た。
こっこは、声を殺すように泣いていた。
「さくらが、元気でよかった……」
震える声で言われたその言葉に、なぜか俺まで胸を締め付けられた。
叶花はゆっくりベッドから降り、こっこを抱きしめた。
「怖い思いさせてごめんね、こっこ。大丈夫だから、笑ってほしいな」
なんて言われても、すぐに笑えるわけがない。
こっこは叶花に抱きしめられたまま、しばらく泣きやめなかった。