「そんなこと、誰が決めたんですか」
……誰も決めてない。
ただ実際のところ、どうだか知らない。
たぶん、学校で倒れた場合、俺たちが付き添えるのは保健室まで。
それは、俺たちが学生であって、親族ではないから。
学生には授業がある。
学校行事がある。
それよりも大切なことはたくさんあっても、学校にいる限り、優先すべきは授業や行事。
だから、なにがあっても付き添えない。
……なんて、今のこっこに言っても無駄なんだと思う。
「先輩は、さくらが心配じゃないから、そんなこと言うんですか」
真っ直ぐゆえの面倒くささ。
「いつ、俺が心配じゃないと言った」
そこに苛立ち、俺はつい、こっこを睨んでしまった。
あれだけ威勢のよかったこっこは、驚き、怯えている。
「文化祭が終わったら、すぐに病院に行こう。それで我慢してくれ」
こっこは小さく頷いてくれた。
そしてその言葉通り、俺たちは病院に直行した。