すると、おじさんは俯いた。



「叶花は小学校に行けてなくて、お見舞いに来てくれる子がいないんだ。入院中に仲良くなった子は、みんな元気になって退院してくし……」



でも、俺なら。


暇だし、病院に母さんもいるし、いいだろ?って?



冗談じゃない。



……まあ、いいや。


どうせ、一人で家にいたくなくて勝手に出かけたりするんだ。


その行き先が決まるだけ。



「わかった」


「ありがとう、蓮くん」



おじさんが見せたその笑顔は、どこかあいつと似ていた。



そして俺たちは病院に着いた。



「蓮、櫻木さん」



おじさんが慣れたように病院内を歩き、母さんと合流した。



おじさんは手を離すかと思ったけど、そうしなかった。


逆に、力が強くなっているような。



「カナは」



手が震えていた。



母さんもおじさんの不安を煽るような、暗い顔をしている。



少しは笑えばいいのに。



「また、入院することになりました」


「そう、ですか……」



安心したけど、しきれない、という感じの声だった。