叶花の声のトーン的に、たぶん、なんとなく出た質問だと思う。
からかうとかじゃなくて、興味本位。
誰かを好きになって、その人と付き合うことって、どういうことかっていう。
「ううん、同じ学科の人」
「そっか」
それで、その話題は呆気なく終わった。
「花火たくさんある! なにやろうか迷うなあ」
瞬間的に、叶花のテンションが元に戻った。
慣れているからと言って、驚かないわけじゃない。
急にこうテンションが変わると、誰だって驚く。
全員叶花のテンションに置いていかれた。
「蓮くん、ちゃんと写真撮ってね!」
叶花は市販の花火の袋を開けながら、棒立ちの俺を見上げた。
「はいはい」
俺はというと、花火には興味なんてなくて、今日は適当な理由で逃げようとしていた。
だけど、カメラ係なんていう役割を押し付けられた。
そういうわけで、使い慣れたカメラを持って、ここにいる。
「先輩、写真なんか撮れるんですか」
「カメラ持ってシャッター押せば、誰でも撮れるだろ」