義兄のところは突っ込まないのか。
と思っていたら、結斗さんは首を傾げていた。
「どうして、こっこ?」
ああ、そこか。
たしかに、繋がらないよな。
「苗字と名前の最初の文字を取ったの!」
叶花は得意げに説明し、結斗さんは納得した顔を見せた。
「可愛いでしょ? 私がつけたの!」
「さくらに無理矢理つけられました」
それに便乗するように、こっこが迷惑そうに言った。
「そんなこと言わないで!?」
……夜だから静かにする、というのはどこに行った。
もううるさくなってるじゃないか。
「櫻木?」
すると、ここにいる誰でもない女の声がした。
叶花と結斗さんがその声の主のほうを向く。
俺たちも遅れてそっちを見る。
「永瀬さん! どうしてここに?」
どうやら結斗さんの知り合いらしい。
「ちょっと見かけたから呼んだだけ。じゃ、またね」
彼女はそれだけを言って、どこかに行ってしまった。
「彼女?」