君と見つける、恋の思い出



多分叶花の中で、ベッドの上で眠っている理香子さんが、翔太さんと重なっているんだと思う。



翔太さんのときと違うのは、理香子さんは本当に眠っているだけ。


手術の跡もなにもない。



それでも不安になるのは当然だ。



俺がその不安を和らげることが出来るとは到底思わないが、少しでも軽く出来たらと思い、叶花の手を握り返した。



そのとき、理香子さんがゆっくりと目を開けた。



「ここ……」


「病院ですよ。櫻木さん、会社で倒れたそうなんですが、覚えてますか?」



須藤さんがする質問に、理香子さんは一つ一つ答えていく。



俺は横目で叶花を見た。


静かに、でもたしかに頬に涙が伝っていた。



俺の視線に気付いたのか、叶花は俺の手を離し、涙を拭った。



「お母さん、無事でよかった!」



泣いていたことは誤魔化せないけど、それでも叶花は明るく振舞った。



「ごめんね、叶花ちゃん。結斗も、心配かけて」


「本当だよ。お母さんも無理できる歳じゃないんだから」



それが、空気を暗くしないための演技だとすぐにわかった。



ここの家族は、落ち込んだ空気を嫌うらしい。



「無理するよ。だって、お金を貯めなきゃ」