「家族とはいえ、カナだけ血が繋がってなくて、それなのに入院費を払ってくれてる櫻木さんに負い目があった。だから、今回櫻木さんが疲労で倒れたのは、自分のせいだと思った。そうでしょ?」
叶花はもう一度頷く。
言われてみれば、叶花は自分にお金を使おうと言われたら、絶対に断っていた。
必要最低限でいい、と。
そんなことを思っていたのか……
叶花は理香子さんと結構距離を縮めていると思ったが、違ったらしい。
二人とも、お互いに見えない壁を作っていた。
「私さえいなきゃ、お母さんが働きすぎることはないし、お兄ちゃんが奨学金で大学に行ったり、バイトをしたりしなくて済んだ。私が、いなければ……」
すると、結斗さんが両手で叶花の頬を挟んだ。
「誰も、叶花ちゃんがいなければよかった、なんて思ってない。そんなこと、言わないで」
結斗さんの力はそんなに強くなかった。
それでも叶花が涙を流したのは、そう言われたことが嬉しかったんだと思う。



