「おい……叶花、起きろ」
叩き起すと、叶花は目を擦りながら目を覚ました。
「んん……どうしたの、蓮くん」
「理香子さんが倒れたって」
すると、一気に目が覚めたのか、叶花は青い顔をして体を起こした。
「結斗さんから連絡が来た」
スマホを差し出すと、奪い取られた。
動揺、するよな……
「蓮くん……お母さん、疲労だって……私のせいかなあ……?」
どうやらメッセージを送って返信が来たらしい。
動揺からか、叶花の手は震えていた。
「叶花のせいなわけ、ないだろ」
その手にそっと、自分の手を添える。
「でも……」
その続きはなかった。
黙って待ってみたけど、叶花は言おうとしない。
これ以上待つより、少しでも早く理香子さんのところに行くべきだろう。
「理香子さん、どこの病院に運ばれたって?」
「えっと……私と同じところって」
叶花はそう言いながら、スマホを返してきた。
結斗さんとのトーク画面が開かれたままで、たしかに同じ病院名が記されている。
俺はそれと財布、鍵をズボンのポケットに入れていく。
「行くぞ」
そして魂が抜けた叶花の手を引き、タクシーで病院に向かった。