だけど、返事がない。



「叶花?」



俺は妙な不安に駆られ、台所を離れる。



すると、叶花は規則正しい寝息を立てて寝ていた。



俺は一気に気が抜けて、その場に座る。



「人の気も知らないで、こいつは……」



右手の人差し指で、叶花の頬をつつく。



でも、なにもなくてよかった。



叶花が倒れるのは、少しトラウマというか、怖い。



初めて会ったときにあんなふうに倒れられて、母さんの必死な顔見て。


幼いながらに恐怖を覚えていたから。



それが、今でも消えない。



叶花の幸せそうな寝顔を見て、俺はなんとなく、写真に残しておこうと思った。



食卓の上にあるスマホを取り、叶花にカメラを向ける。


そして数枚撮ったとき、メッセージが届いた。



アプリを開いてみると、結斗さんからだった。



結斗さんが俺に?


なにかあったのか……



『お母さんが倒れた。叶花ちゃん、蓮くんのところにいる?』