あれから二日経ち、公民館祭りが開催される日になった。



叶花は昼から俺の家に、浴衣を持ってきていた。



「こっこと蓮くんと、お祭りー!」



浮かれまくってる叶花がうちにいるのは、母さんに着付けてもらうため。



「叶花ちゃん、楽しそう。こっこって、お友達?」



母さんは叶花が持ってきた浴衣をハンガーに掛けながら、本当の娘に聞くように穏やかに言った。



その浴衣は、カーテンレールに掛けられた。



「うん! 同じクラスで、同じ部活なの!」



叶花はソファーに座ったまま、弾んだ声でそう返した。



……出た、小学生。



「そう。それで、祭りには何時に行くの?」


「蓮くん、何時に行くの?」



食卓のところにある椅子に座って読書をしていたら、叶花が流れるように質問をしてきた。



おいおい、嘘だろ。


俺だって知らない。



「蓮くん、こっこに連絡!」



俺が黙っていたのを、知らないと思ってくれたらしく、慌てて言ってきた。



なんで俺が、とは言えなかった。



叶花はまだ携帯を持っていない。


さすがに必要性を感じるのに。



なんていうより、こっこの連絡先を知らない。



「蓮くん、もしかして知らないの!?」



だから、なんで俺が悪いみたいなふうに言うかな。