……心の距離の開き方。
一気に遠くなってるな。
それが嫌なのか、叶花は動揺している。
「や、やめて、こっこ! 敬語とか、本当に! 私、苦手なの!」
使うのも、使われるのもな。
「それに私たち、同じ一年だよ!?」
「年上は敬うものですから」
年上とは思えませんが。
なんて、心の声が聞こえたのは気のせいにしておく。
「やだ……こっことの関係、変えたくない……」
「わかってる、わざと」
そう言って、いつものこっこに戻った瞬間、叶花はこっこに抱きついた。
「騙したらダメだよ、こっこ!」
「ごめん、ごめん。面白くて、つい」
「バカー……」
こっこの態度に安心したのか、叶花は薄ら涙を浮かべている。
「私を騙した罰として、こっこは私と祭りに来なさい!」
「え、やだ」
本当に、なにもなかったみたいに感じる。
だけど、叶花のことを少し知ったからか、二人の距離が縮まったように思った。



