「浅賀先輩。あれのどこが年上ですか」
こっこは呆れているのか、ため息をついた。
「……怒って、ないのか?」
「怒る?」
いや、どうしてそこで首を傾げる。
さっき、あんなに叶花を追い詰めていたじゃないか。
「……ちゃんとわかってます。どう考えたって、さくらが隠してたのはどれも言い難いことで、あそこまで言う必要なかったって」
……だよな。
こっこはちゃんと考えられる人だもんな。
「また一からやり直してるのは、病気……ですよね」
「こっこは本当に、鋭いな」
すべてお見通しって感じがする。
「あの……浅賀くん。俺が櫻木さんに聞いた理由、ちょっと違うんだけど……」
先輩はおずおずと手を挙げた。
そういえば、初めて会った日、叶花が嘘の説明をしていたな。
「なにを吹き込まれたんです?」
「入学して最初にあったテストで心が折れて、勉強についていける気がしなくなって、不登校……」
「それ、嘘だってすぐわかりますよね」



