言われてみれば、たしかにそうだ。
「そういうことだったんだ……」
こっこはノートになにかを書いていた手を止め、俯いた。
「あの、こっこ……?」
叶花は恐る恐る呼びかけた。
「……さくらは隠しごとばっかり」
すると、叶花は涙目になった。
だが、叶花が隠してることは、どれも言い難いことばかり。
こっこが怒りたくなるのもわかるが、叶花が隠したいと思うこともわかる。
……口が出せない。
「ねえ、さくら……楽しかった? 私を騙して」
「違う……騙してなんか……!」
「じゃあなに?」
「私はただ、こっこと友達に……」
「すべてを偽ってまで、友達になる理由ってなに」
それは違う。
叶花は、たしかに嘘をついていたけど、偽ってたわけじゃない。
「違うよ……違うもん……こっこの……こっこのバカー!」
そう言って、叶花は部室を出て行った。



