「カナが倒れたのは君のせいじゃない。だから、自分を責めたらいけないよ」



……バレてた。


母さんは気付いてなかったのに。



「浅賀さんはカナの担当の看護師さんでね、当たり前かもしれないけど、カナを自分の娘のように接してくれて、心配してくれてる。蓮くんからすれば面白くないだろうけど……」


「……わかってるよ、それくらい」



母さんが患者を大切にしている。


そんなこと、嫌ってほど知ってる。



俺との約束を破ってまで、駆けつけるくらいだ。



だから、これくらい、どうってこと……



「蓮くん?」



どうして、この人はわかったんだ。



今まで、誰も気付かなかったのに。


だから、平気だと思ってたのに。



……俺、寂しかったんだ。



そう自覚した瞬間、涙が止まらなくなった。



「櫻木さん」



母さんがその人を呼ぶと、その人は母さんから俺を隠すように振り向いた。