三月ウサギとやって来たのは昨日と同じハートの女王様のお城。

だけど昨日と少し違うのは今日用事があるのはあの豪華絢爛女王様の趣味全開お庭件クロッケー大会会場ではなくお城の中にある裁判会場だ。

昨日の嫌な記憶を思い出させる庭を横切ってお城の中へ三月ウサギと共に向かう。


私は確かに昨日ここで死んだ。

体中がすごく熱くて痛くてどうやって表現するのが正解なのかわからないほど苦しかった。

あれが死ぬということ。

もう二度と味わいたくない感覚。


「ねぇ、三月ウサギ」


「何だよ」


「昨日私が死んだあと、あれからどうなったの?」


そう言えば色々ありすぎて昨日のことを聞き忘れていた。

思い出してすぐにそのことを私の前を無言で歩き続けていた三月ウサギに私は質問した。


「帽子屋の作戦が失敗すると思ってんのか?」


するとこちらに振り向くこともなく、三月ウサギは至極当然のように答えた。

つまり、作戦は成功した?

じゃあ、この状況は何?

三月ウサギの答えは私に新たな疑問を産ませる。


「でも一つだけ誤算があった」


「え?誤算?」


「あぁ、あの後死んだアリスを抱えて逃げてるとお前が会いたがってた奴が出てきたんだよ、俺たちの前にな」


悔しそうな三月ウサギの言葉に心臓がドクンッと大きく跳ねる。

私がこの世界で〝会いたがっていた奴〟なんて1人しかいない。


「白ウサギに会ったのね」


「そう。で、そいつのせいで今こうなってんだよ」


私の答えは正解だったようで三月ウサギはますます悔しそうにそう返事をした。