「……つまりだ。ここでは次の日なんてもんはねぇ。明日は今日、1日が終われば時間は巻き戻されてまた同じ1日が始まる。だからアリスは今、生きてんだよ。それがここでは当たり前のことだ、わかったか?」

「……な、何となく」


三月ウサギのとんでもない説明を聞いて信じられない話だったが、とりあえず理解する前にまずは頷く。

そして頭の中で今貰った情報を今までのことを振り返りながら整理し始めた。


三月ウサギのとんでもない説明は非現実的だが、理にかなっている。

私が今、生きている理由もそうだし、帽子屋やチェシャ猫たちが時々口にしていた〝時間〟に関するおかしな言葉の数々の説明もつく。

私がいた世界とこちらとでは根本的に何か違うとはどこかで察していたがまさかこれほどまでに違うものだとは思わなかった。

〝不思議の国のアリス〟と同じような世界で、同じように物語が進んでいると思っていたが、どうやら少し違うらしい。


物語ではアリスがクロッケー大会で死ぬことなんてないし、ましてや次の日に生き返るだなんてとんでもない。

これじゃあ、物語の主人公ではなく、まるで物語の主人公を脅かすゾンビではないか。