「ありがとう、女王様」


「いいのよ、アリスの為だもの」


そんな女王様にニッコリ笑えば女王様も安心したかのように私にニッコリと微笑む。

そして……


「けれどアリス?もし白ウサギがクロッケー大会に現れなかったらどうするつもりなのかしら?また探しに行ってしまうの?」


と、笑みを深めて女王様はそう言った。


「……っ」


ゾクッとその笑顔に何故か恐怖を感じてしまい、すぐに言葉がでない。

優しい笑みのはずなのにその瞳の奥底の感情が全く見えず、どこか冷たく感じてしまう自分がいる。


「……っ、も、もちろん、探しに行くよ、白ウサギには聞きたいことがたくさんあるから」


何とか言葉を絞り出して女王様を見つめる。


だけどこの言葉が〝間違い〟だったことをすぐに思い知らされることとなる。


「ダメよ、アリス。貴方は私のものよ。私から離れることは決して許さない。例えアリスでも私から離れると言うのなら首をはねるからね?」


「……っ!」



先程も恐怖を感じたあの笑顔で女王様が私の首を優しく撫でる。


この人ならきっとやる。

私が離れようものなら一切の迷いなく私の首をはねる。