「そちらでお菓子を行儀悪く食しているのが三月ウサギ、そして劣悪な三月ウサギの横という環境で寝ているのが眠りネズミのヤマネだ」



帽子屋が言葉とは対象に丁寧に右掌で2人のことを指す。


帽子屋に言われて改めて目を向ければそこには帽子屋の言う通り、これでもかと言わんばかりに行儀悪くお菓子を食べているオレンジのうさ耳を生やした美青年、三月ウサギと、そんなお菓子が降りまくっているまさに劣悪な環境なのに眠り続けているグレーのネズミ耳を生やした美少年、ヤマネが目に入った。


これはチェシャ猫と同じパターンだ。

この2人は私の知っている三月ウサギでもヤマネでもない。

私が知っている三月ウサギとヤマネは人間ではないからだ。



「私はアリス。二人ともよろしくね」



今度は余計なことを言わないように2人に挨拶をする。



「「…………」」



だけどお菓子に夢中な三月ウサギとぐっすり眠っているヤマネに完全にそれは無視された。