「えーっと、あ、あれだよ!あれ!私、人の名前当てるの得意なの!てか得意通り越して特技だから!」



我ながら苦し紛れすぎるとわかっている。

わかっているが、この言葉しか思いつかない。


苦し紛れの言葉とぎこちなさすぎる笑みを帽子屋とチェシャ猫に私は浮かべて見せた。


すると……


「「ふーん」」


二人とも私に向かってにっこり笑っていた。

言葉こそ肯定とも否定とも取れないものだったが、その顔には二人とも〝全く信じていません〟と見えない文字がきちんと書かれてある。


やっぱり信じて貰えてないー!疑われているー!



「名前を当てる特技のあるアリスには必要ないのかもしれないが、本日のお茶会参加者を紹介しよう」



帽子屋の言葉全体にどこか棘を感じるあたりやはり私の言葉は全くと言っていいほど信じられていないみたいだが、そんなことにはこの際目を瞑ろう。


気にしていたら先には進めない。