夢ならばと思ってほっぺをつまんでぐーっと思いっきり引っ張ってみる。



「痛い」



だけどその行動は痛みを感じるだけの行動であり、目覚める気配は一行にない。


夢のような世界だが、今起きていることは現実なのだとその痛みが改めて私に思い知らせているようだった。



夢ではないのならますます帰り方がわからない。



白ウサギを追いかけるよりも帰り方を深く考え始めていた時だった。



「あっれー?人形が動いてる」



どこからかおかしそうに笑う声が聞こえたのは。



「……?誰かいるの?」



どこから声が聞こえたのかわからず辺りを見渡す。



誰かが居ればそれは大いに助かる。


白ウサギの行方だって聞けるし、この不思議な世界からの帰り方だって聞ける。


とにかく今は聞きたいことだらけなのだ。



「返事をして!!誰かいるの!!?」



なかなか辺りを見渡しても誰も見当たらないので今度は大きな声で誰かに呼びかけてみる。


すると……