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女王の城で仕事を片付けながら随分と前の思い出を思い出していた。あれから随分時間が経ったがそれでも僕はあの日のことを鮮明に覚えている。


「さて…」


窓の外を見ればアリスが行きたいと言っていた森が目に入る。
アリスの望み通りこの世界の生き物全てに自由を与えたのでもう僕が制御できるものではない。

本当は危険だから近づけさせたくないのだが…。
だがしかしここではアリスが全て。アリスに逆らうことは僕自身望んでいない。

近々、アリスがあの森に近づく前に僕自身でどんな場所か確認しておこう。そして命に関わる危険なものがあれば例えそれがアリスが会いたがっていた竜でさえも消してしまおう。


「よし!やるか」


僕は自分に気合いを入れて再び仕事に取り掛かった。アリスが生きやすい世界にする為に僕はこの世界を作っていく。


アリス。アリスは僕の全てだ。
もう死ぬしかなかった子ウサギの僕の命を救い、溢れんばかりの愛情を注いでくれたのは他でもないアリスだった。

だから僕の命はアリスにあげようと決めた。
だから愛するアリスの元を離れ、死んだ方がマシだと思えるくらい努力して魔法を手に入れた。

そしてアリスを今度は僕が救って、幸せにすると誓った。

ねぇアリス。愛しているよ。
君をこの僕が用意した永遠の世界で僕は愛し続けるからね。
僕に愛情を注ぎ続けてくれたあの日のアリスのように。


ねぇ、幸せになろうね、アリス。



happy end side白ウサギ  end.