いや、さすがヤマネだけど!こんな所で寝たら風邪引くって!


この世界での生活も大分長いがヤマネを起こすことには未だ手こずるのが現実で。
どうやって起こそうか私は頭を捻りまくって考える。

チェシャ猫の名前は絶対、ぜーったい、最終手段でしか使わないようにして、なんとかヤマネを起こさないと。


「ヤマネー!起きてー!風邪引くよー!」


まずはとりあえず大きな声を出すから始めよう。
そこからのヤマネとの戦い1時間はあまりにも長すぎる為、割愛させて頂きます。



ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーーーー



「アリス?」

「ヤマネーっ、やっと、やっと起きてくれたぁ」


1時間もの格闘の末、ヤマネが寝たそうに瞳を開ける。そのことに私は半泣きで歓喜した。

あぁ、本当に長すぎた!
何してもヤマネが起きなさすぎて終わりが見えなかったよ!


「さあ、ヤマネ、帽子屋屋敷に帰ろう?こんな所で寝ていたら風邪引くよ?」

「んー。僕は寝られたらどこでもいいし、今は動きたくないかも」

「ええー!お願いだからせめて帽子屋屋敷とか屋根のある所で寝てよ!」

「んー…」

「こら!隙あらば寝ようとしない!」


嫌がるヤマネの腕を引っ張って、隙あらばすぐ寝ようとするヤマネに度々声をかけながら森の中を進む。ここなら帽子屋屋敷なんて目と鼻の先だからもう着くはずだ。