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帽子屋屋敷に着くといつものように豪勢なお庭でお茶会が始まった。

メンバーはこれまたいつもと変わらず、帽子屋、三月ウサギ、ヤマネ、そして後からやって来た私とチェシャ猫だ。
ヤマネは寝ているし、その横で三月ウサギは相変わらず行儀悪くお菓子を平らげている。
もちろん横で寝ているヤマネにはお菓子の雨が降っているが気にせず寝続ける辺りさすがヤマネである。

そして私、帽子屋、チェシャ猫はお茶とお菓子を飲んだり、食べたりしながら会話を楽しんでいた。


「アリスのおかげで自由になった世界は驚きでいっぱいだよ。毎日が新鮮だ」


優雅に紅茶を飲むと帽子屋は楽しそうに笑みを深めた。

そう帽子屋の言う通りこの世界は自由になった。
私のおかげ…というか私が白ウサギにお願いをしたのだ。この世界で生きる全ての生き物に自由を与えて欲しいと。

白ウサギは私の為にこの世界を作るくらいだ。他の願いなんてそれに比べれば容易い願い。
すぐにその願いを叶えてくれた。

自由を与えられたことによって、もう〝不思議の国のアリス〟のお話は始まらないが、それでも生き物が、人が、自由に生きるということはそれだけで新たな物語が生まれるということだった。
それを私はとても楽しんでいるし、帽子屋やチェシャ猫も私と一緒だった。

でも自由ばかりでは秩序が乱れるので頑張っているのがこの世界の元々の女王様とこの世界を作った白ウサギだ。
日々規律を守らせる為に特に女王様が奮闘している。

この世界実は自由な人が多いから女王様も大変そうだ。目の前にいるこの2人がまさに自由代表だろう。