「私、水泳大会の係を頑張ってみようと思う。みんなが少しでも早くなるように。水野くんみたいに、頑張ってみたい」


ーー前に進むことが怖くなって、早6年。すぐには彼のようになれないだろう。もしかしたら一生なれないかもしれない。

でもやっぱり、水野くんみたいな考え方、いいなって思うから。まずは形だけでも真似してみるよ。

すると水野くんはしばらく私を見たあと、何故か顔を赤らめて私から目を逸らした。


「……あのさ」

「え?」

「真顔でかっこいいとか言うの、反則じゃね?」

「……?」


言っている意味がわからず、私は首を傾げる。反則……? 何か卑怯なことしたかな。


「あ、なんでもない」

「うん?」

「でも、吉崎さんが元気だしてくれたんならよかったよ。うん、一緒に頑張ろ」


まだ顔は少し赤かったが、水野くんが人懐っこい笑みを浮かべたので、私は微笑み返した。