そして2人で一緒に教室までの帰路についた。ーーすると。


「ーー吉崎さん」


すでに昼食を終えて校庭にサッカーをしに行くらしい男子生徒達が騒ぎながら廊下を歩いている横で、水野くんが私の耳元で囁くように言った。

「え、何?」

「あのさ、大丈夫? ーー大阪と新幹線」


何気無いけれど、心配そうな声音だった。私は途端に嬉しくなってしまう。

ーー恋をしている彼に気にかけてもらえているということ。これ以上に嬉しいことなんて、そうそうない。


「ーーうん」


私は水野くんの方を見て、微笑んで頷く。

ーーきっと大丈夫。あなたがいるから。


「そっか。でも何か心配なことがあったら俺に言いなよ。大した事は出来ないけど、そばに居てあげることくらいできるからさ」

「ーー水野くん」


私が不安な時には、そばに居てくれる。

なんて嬉しいことを言ってくれるのだろう。水野くんは優しいから、誰にでもそうなのかもしれないけれど。