「そんなに食べるの!?」

「いやー。放課後腹減るからその分も買ってて」

「…………そう」


恐るべき男子高校生の食欲。


「吉崎さんは? え、パン1個?」

「……売り切れてて買えなかった。もう、水野くんがカレーパン買い占めるからだよー!」

「あはは。ごめん。あ、じゃあ1個あげるよ」


抱えたカレーパンのうちの1つを私に差し出しながら言う水野くん。


「え……? いいの?」

「うん。吉崎さんがパン1個しか買えなかったの、俺にも責任あるからね」

「ーーなるほど」


一理あるので、私はありがたく受け取ることにした。


「あ、いくらだっけ? カレーパン」

「いいってば。あげることにしたって言ったじゃん」

「え、でも……」

「いいからいいから」


水野くんが機嫌よく言うので、それ以上お金のことを言うのは野暮な気がした。

だから私は素直に「ありがとう」と伝え、彼に奢ってもらうことにした。