あの時からずっと、君は俺の好きな人。

と思ったのに、私が適当にアルバムを拾ってしまったため、手元から写真がひらひらと2枚も落ちてしまった。

それも、写真の表が見えている状態で、水野くんの足元に。

私が何かを言う前に、水野くんが写真を拾ってしまった。


「ーーこの写真」


水野くんが緊張した面持ちになる。

直視したくなかったから横目で見たけれど、写真の1枚には私の両親と、2人に挟まれた10歳の私が写っていた。

そしてもう1枚は、私が大阪旅行で創作し、帰る間際に失くしてしまった青いとんぼ玉のミサンガの写真だった。


「ずっと前の私だよ」


私は苦笑を浮かべて、まるで自分しかその写真にはいないかのように言った。

ーー私に優しい両親なんて最初からいなかった。私は、いまだそう思い込もうとしていた。


「お母さん、吉崎さんにそっくりだね。お父さんはかっこよくて優しそう」


だけど水野くんは容赦なくそう言う。無論、悪気なんてないだろう。

だけどその一言に、私には昔、そっくりな母親と、かっこいい父親がいたという事実を突きつけられる。