あの時からずっと、君は俺の好きな人。

私は潤んだ瞳で彼を見つめ返すことしか出来ない。

ーーすると。

バサッと本棚の方から、何か物が落ちる音が聞えた。私は首を本棚の方へと向ける。

そして本棚から落下したものを見て、私は愕然とする。


「ん? アルバム落ちたよ」


そう、落ちたのはアルバム。

パパとママの生前の姿や、2人に囲まれて幸せそうにしている私や、最後の大阪旅行の写真も入っているーー私が何回も捨てようとした、過去の幸せの象徴。

恐らく拾おうとしてくれた水野くんが本棚の方へ向かおうとしたので、私は飛び起きて彼よりも早くアルバムを手に取った。


「吉崎さん……?」


私の突然の俊敏な動きに、水野くんからは戸惑いの声が漏れる。


「だ、大丈夫! 私がしまうから」

「そう……?」


ーーなんとなく、見られたくなかった。家族を亡くしている水野くんにだって。

今の私はあのアルバムに収められた写真の頃に比べて、あまりに落差がある。