あの時からずっと、君は俺の好きな人。

「え、美結?」

「もう行かなきゃないなー。じゃあ水野くん、あとはよろしく!」

「ちょ、ちょっと!」

「ばいばーい! まったねー!」


引き留めようとする私を華麗にスルーし、美結はニヤニヤしながらそそくさと私の部屋から出ていってしまった。

ーーなんなんだ美優さん。何か、勘違いしている。

なっちゃんと言い、なんでみんな私が水野くんを好きなことにしたがるんだ。そんなふうに見えるのだろうか。

水野くんと二人っきりで部屋に残され、しばしの間場は静寂が支配する。

しかし、せっかく心配して来てくれたのだ。このまま無言でいるわけにはいかない。私は布団を少しめくって顔を出した。


「あ、あのね。聞いてたと思うけど、もう結構大丈夫だから。心配いらないよ」

「ーーそっか。よかったよ」


ベッドの傍らに座った水野くんが、穏やかに笑う。

その微笑みを見た瞬間、私の心臓の鼓動が早くなったような気がしたが、気のせいだということにする。