あの時からずっと、君は俺の好きな人。

三上さんはうつむき加減でみんなにそう言うと、更衣室の方へとそそくさと入ってしまった。食べてくれるといいな、お菓子。

そして、他のみんなは。


「あ……これほんとうまい。水泳で疲れた体に最高です」


内藤くんが袋を開けてすでに焼き菓子をおいしそうに頬張っていた。


「おいおい、プールサイドで食べると見つかったらやべーじゃん!」

「ーーだってこんなおいしそうなのが目の前にあったら食わずにいられんよ」


焦った新田くんの言葉に構わず、焼き菓子をまた1つ口の中に放り込む内藤くん。


「ほら! さっきの先輩もこっち見てんじゃん! 言いつけられるぞ!」

「早く帰ろ!」

「ええ〜……。吉崎さん本当にありがとう。ごちそうさまです。じゃ」


うろたえる新田くんと水野くんに引きずられるように、更衣室へと連行される内藤くんは、いまだに焼き菓子をもぐもぐさせていた。