あの時からずっと、君は俺の好きな人。

他のみんなも「マジでー? 今度行ってみようかなパン屋」「ねえねえパン屋どこにあるの?」「焼き菓子すごくかわいいね」などと口々に言って、嬉しそうに受け取ってくれた。

そして私は三上さんの方を向く。彼女はぎょっとしたような表情をした。

私は嫌われてしまっているけれど、みんなに慕われていて、頼りになる姉御肌の三上さん。

バレー部の練習で途中で抜けることもあるけれど、水泳大会の練習だって、当然頑張ってくれている。


「ーーはい、三上さんも」


私は他の人と同じ態度で、三上さんに向かって焼き菓子の袋を差し出す。ーーすると。


「あ、ありがと……」


戸惑った顔をしながらも、あっさり受け取ってくれた。

もしかしたら、理由をつけていらないと言われるかもしれないという心配はもちろんあったし、今受け取ったのも他のみんながいるから仕方なく、という可能性もある。

だけど、まあいいや。三上さんが私を嫌いでも、私は三上さんを嫌う理由はないのだから。


「ーー私バレー部の練習行くから、もう行くね」