「じゃあ、原点に戻ってみようか。どうして、彼女たちは死ぬ必要があった?黎祥の寵愛を受けそうだったから?それとも、子供を産む可能性があった?……どちらも似たような理由だけど、じゃあどうして、寵愛を受けて、子供を産んだ翠蓮は傷つけられないんだろう?」


「……」


「表貴人は、井戸の近くで死んでいた。恐らく、何か嘘の手紙で呼び出されたところを襲われたんだろう。翠蓮には神の守護がついているし、黎祥も含め、翠蓮を守る人間達も強い。でも、そんなことくらいで、暗殺を諦めきれるのなら……野に咲く雑草のように、黎祥の寵愛を受ける確率なんて格段に低かった彼女たちは、どうして殺された?」


志揮からの問いかけに……答えられない、自分がいた。


確かにそうだ。


皇后として騒がれるようになってから、毒をもられることは幾度もあった。


でも、幻芳珠までもが、翠蓮を襲うことは無かった―……。


「違う毒で、秋遠様と雄星様は倒れたね。死にかけた。恐らく、殺すことが目的だったのかな?分からないけれど、じゃあ、どうして、二人は毒に倒れる必要があった?第七皇子、第九皇子だから?」


「……」


「世間的には隠されている話だけど、実は黎祥が殺したという話の先帝の皇太子殿下は生きている。淑成桂の名前を変えて、李桂鳳と名乗ってる。それは、翠蓮も知っているだろう?」


「ええ、前に……黎祥に教えて貰ったわ」


「その時、既に死んでしまっていた先帝の栄妃が、哀貴人の元より皇子を連れ去り、母と名乗って、皇太子としたと聞いた?」


「ええ……」


志揮の話は聞いたことある話だから、驚くことは無い。


でも、やけにそこにこだわるってことは、何か関係が―……。