「向淑妃、蘭怜様のことは陛下にお伝えしますが、罪とはさせません。ですので、これからはもう少し、肩の力をお抜き下さい」
「……」
「困った時は、私を呼んでください。医術にはそれなりに精通しています。お力にはなれるでしょうから」
小さく、細い肩に罪を背負い続けた彼女に、今、暫くの安息を。
「蝶雪、天華、帰るわよ!」
声をかけると、蘭怜様に別れを告げて。
それにまだぐずった蘭怜様をなだめに行った向淑妃を見ながら、翠蓮は若琳に尋ねた。
「向淑妃の亡くなった姉君の名前、向淑妃の名前、そして、覚えているのなら、そのお産を手伝った女性の名前を教えて欲しい」
すると、若琳はすぐに名前を紙に書き付けてくれた。
さすが、黎祥が認める密偵。
「また来るわ」