「まぁ、いじけても無理ないよ。だって、あいつ、徹底的に弱いもん」


「こら、綺宵」


「精神的にも、体力的にも、挙句、五行説でも……誰にも勝てない」


「明宵まで……」


志揮は頭を抱えて、ため息をつく。


「……そうか。上手いこと、均衡が取れているのか」


つまり、例を挙げると、金は木に勝つ。


紫艶は、飛雪よりも強いという事だ。


と、いうことは。


「……その火のものに勝てるのは、白華か」


「弱いよ、あいつは」


「うん。だって、白華に瞬殺されているから」


……恨みでもあるのか、徹底的な悪口。


「綺宵、明宵、やめておけ。……そなたらを生み出したのが、例え私といえど、私とて、白麗と蒼厳には勝てぬのだから」


冷静に涼やかに、少年二人を制する白華は。


「皇子は、そなたと共に我らが守護しよう。翠蓮が産んだ、大切な御子なのだから」


紫艶の元に行き、優しい手で皇子に触れる。


光が皇子を包み込むのを見て、黎祥は呆然とした。


「……どういうことだ?」


「驚き呆れるぞ、この国の皇帝が」


知らなかったことを知っていたのか、


「この、戯け者」


白華は黎祥を見て。