このやり方を始めたのは、蒼月の代からだが……上手くいっているらしい。


事実、蒼月が国を離れて半年は経つが、何の問題も起きていない。


流石、蒼月率いる革命軍の人間によって構成された上部である。


「国が広いし、先帝が残したものがな……毒の事件もだが、さて、どうするか……」


「黎祥様、あんまり悩みすぎるものいけませんよ」


「秀敬殿」


「息子が下町で見た景色は、とても素晴らしかったと言っていました。下町の人々の創造性もあるのでしょうが、とても楽しかったと。今では、宮に帰ってこないんですよ」


困ったように笑っているけど、秀敬殿はどこか嬉しそうで。


「貴方の国の視察が、我が国に良い影響を及ぼしてくれそうです」


呑気に笑っているけど、それって、いいのか?


「殿下は……」


心配する黎祥の声に、笑みを深めた秀敬殿。


「一応、護衛がおりますので。……もしかしたら、この国から妃を貰うことになるかもしれませんね」


「えっ、皇子さん、見つけたのか」


「ええ。仲の良い、女の子がいるようで。とても楽しそうに語ってくれるのですよ。妻に手紙で話したら、会いたいと言われてしまって……困ったものです」


「まじかー。俺なんて、『は?』って言われたんだが」


「おや、蒼月殿にも気になる方がいらっしゃるのですか?」


―何故か、妃について話し始める彼ら。


酒の肴として、良いものか?