「―まぁ、なんであれ。お前はお前のすべきことをして、繋いでいられる、人との情は大切にしやがれ。そして、その子を愛してやるんだな。俺たちの為にも、この国の為にも……未来の立派な君主を育てるんだ」


「……分かってる」


「それはこの国で、お前にしかできないことだぞ」


祥基は、言葉を飾らない。


だからこそ、真っ直ぐに黎祥の胸を打つ。


翠蓮も同じだ。


人によっては無礼だとか騒ぐ奴らもいるけれど、下町は黎祥にはとても心地のいい空間だった。


誰も彼もが平等に、ただ、命を燃やす場所。


「…………また、来てもいいか?」


「さっきから、そう言ってるだろ」


「…………ありがとう」


「おう」


祥基は力抜けたように笑うと、立ち上がって。


「で、てめぇはいつまで固まってんだ?」


と、黎祥でさえも忘れていた兄に問いかけた。


「い、いや……まさか、こんな所で会うとは……え、え?だって、まさか、ねぇ、ええ?」


「何をそんなに戸惑うことがあるんだよ?」


「だって、三年ぶりだよ?」


「知らねぇよ」


気軽に突っ込みを入れる祥基は、


「……お前、まさか、兄弟情結(ブラコン)か?」


と、訊ねる。


すると、兄は


「当たり前じゃないか」


と、輝きを収められん笑顔をむける。