「私は私が今、やるべき事を。後宮に巣食う、黒幕を引きずり出すだけですわ」


翠蓮にとってはそれが全てで、


ここに来た理由だから。


「なら、僕達は懸命にそれを補佐しよう。君が望むように、君の身を守ろう。君ならば、きっと出来る」


流雲殿下は不思議で、掴みどころのない人だけど……どこか、信用出来る部分があるとは思う。


でなければ、黎祥や麗宝様が断言するはずがないから。


麗宝様はともかく、黎祥はそういうことに関しては嘘をつかないだろうし。


「……」


手を差し出されたので、その手を握り返した。


そして、流雲殿下は柳眉を和らげると。


「君に、話しておきたいことがある。前世のことを知っても、揺らがない君だ。どうか、救ってあげてくれ」


「……どなたを、でしょうか?」


「重なる、多くの復讐の渦に呑まれて、逃げる術も救われる術もなくしてしまった、可哀想な女の子」


「……」


多くの、複数犯がいるということは気づいてた。


そう思って、行動してきた。


ひとつの事件から巻き起こるものが、


多くの人を不幸にしていると―……。


けれど、罪を犯した人間が苦しんでる?


それは―……誰?