「ああ〜頭がおかしくなりそう……翠蓮、やっぱり、貴女は天才だわ……」


頭を押さえながら、筆で紙……は高価だから、代わりに木簡に書き綴る麟麗様。


「そんな……生きていくのに、必要だっただけですわ」


「そうだとしても……」


「まぁ、詰め込んでいいことはありませんもの。それに、別に弟子もいますからね。困ったら、そのものに聞けば―……あ、午後からではなくて、今から、少し出かけますか?」


やり慣れないことを完璧に、なんて、すぐにできることじゃない。


翠蓮だって、お妃教育は最近難航している。


……きっと、麟麗様は完璧にこなすんだろうけど。


人間は、そういうものだ。


得意なものと苦手なものがあって、苦手なことを頑張るからこそ、人間として成長できる。


お父様が、成長できた時はいつも褒めてくれていた。


(ん?でも、そう考えると、うちに来てすぐに効能を理解して働いていた黎祥は相当、頭が良かったということになる……よね?皇帝って職業、やっぱり、そう簡単にこなせるものじゃないよなぁ……)


下町生活に戻って、お妃教育を受けていると、本当に思う。


黎祥は化け物かもしれないと。


そして、とんでもない人と生活していたんだなということを、しみじみ実感する。