―所変わって、お昼。
順徳太妃の住まう、明恩宮(メイオンキュウ)にて。
「待っていたわ!翠蓮!」
翠蓮は入った瞬間、笑顔で迎えられた。
友達の―……灯蘭様に。
「灯蘭様……どうしました?いいことでもありました?」
いつも元気な彼女が、こんなにも嬉しそうな顔をしているということは……とても、いいことがあったのだろう。
「ええ!とっても!!」
満面の笑顔で、本当に可愛い人。
「翠蓮……」
「?、なあに?兄様」
「その……すまん」
「何がよ?」
灯蘭様に席を勧められ、腰を下ろす。
すると、向かい側に座った灯蘭様はニコニコと笑って。
「翠蓮、私、聞きたいことがあるの」
「は、はい?」
ん?何か、笑顔が怖いぞ。
つか、雲行きが怪しい……。
兄の方を見ると、声にならない声で、「すまん」と、言ってて。