「―あ、そろそろ、他の患者さんの元へ行かなくては……では、そろそろ御前を辞させていただきます」
「ええ。お疲れ様。ちゃんと休んでね。それと、何か必要なものがあったら、何でも言ってちょうだい。出来るだけ、協力するわ」
「はい!ありがとうございます」
高淑太妃様と秋遠様に深く頭を下げて、宵影閣を辞する。
そして、向かう先は栄貴妃の宮―碧寿宮。
そこの一室にいた、二人の女官―玉林と葉樹を訪ねると、二人は宮女の服を着こなして、互いの髪を編んでいた。
「―あ、良かった。起き上がれましたね」
「翠玉!」
秋遠様の様子とともに、観察していた二人。
予測通り、元気になってくれたみたいで、本当に良かった。
「貴女のお陰で、また、栄貴妃様にお仕え出来るの!ありがとう!!」
「蘭花さんから、許可は貰えました?」
「ええ!ばっちり!」
二人は栄貴妃様を慕っていて、栄貴妃様にもう一度仕えることを望み、死の淵から帰ってきた。
忠誠心で、命を繋いだのだ。
そんなことが出来るのは、一重に栄貴妃に恩があるからで、誰かに感謝される栄貴妃は、本当に素晴らしい人物だと評価できる。
「では、思い存分、働いて下さい。私、別の患者さんの様子を見てきますから。でも、病み上がりですからね!無茶はダメですよ?」
そう言うと、二人はしっかりと頷いて。
二人の様子見が終わったから、次に向かうは内楽堂。
「―皆さん、体調はどうですか?」
「―あっ!翠玉!!やっときた!!!」
内楽堂は衛生環境は最悪だったけれど、色んな人の手を借りて綺麗にして……活気に溢れる場所になった。