そうなれば、生まれたばかりの先帝の子供達、黎祥の甥姪は行き場がなくなってしまう。


だからと言って、無害な命を、無闇に殺めることは昔のように黎祥には出来なくなってしまっていた。


―どうしても、翠蓮を思い出してしまって。


だから、その子達も含めて、先々帝の妃たちに養育を頼んでいるのだが、これでは後宮のせいで財政はどんどん傾いていく。


これでは、国を保てない。


後宮の規模を狭めたいのだが、そのためには、跡継ぎが必要だ。


黎祥の跡を襲ってくれる、優秀な王の器が。


だからと言って、後宮の適当な女を抱いて、子を作る気も起きない。


未来ある皇室の血を引いたものは余るほどいるのに、これ以上、必要性を感じないのだ。


何なら、雄星か高星のどちらかに皇位を譲ってもいい。


そう思ってしまうほど、後宮に心を砕く時間すら惜しいほどに、この国は滅びの一途を辿っているのだ。


そんな黎祥の心情を推し量ったように、皇太后は黎祥を見守ってくれているから、ひとまずは安心……と言いたいところだが、高位の人間が黙っていない。


我が家の娘を、と、次から次へと勧めてきて、最近ではうんざりしている。


いい手駒になりそうな女は、後宮にいないだろうか。


いるのなら、その女に子を産ませるのに。