丁度その時、オリヴィアの部屋の扉をたたく音が聞こえて王宮侍女が入って来た。
「オリヴィア様、ご案内致します」
「はい、宜しくお願い致します」
__さあ、戦いの時だ。
そんな思いがオリヴィアの全身を貫いた。
王宮侍女に案内されたのは庭園だった。
色とりどりの花が咲き乱れる庭園は隅々まで手入れが行き届いており、輝くように咲く花々にオリヴィアはつい目を奪われる。
様々な種類が咲いていると思っていたが、進むほどに赤い薔薇が増えているのに気付いたオリヴィアはつい侍女に話しかけた。
「この辺りは赤い薔薇なのですね」
「花をお好きでいらっしゃるディアナ殿下のために作られた場所ですので」
「ああ、なるほど」
社交界の赤薔薇と呼ばれるディアナのために作られた花園。
王城の一角にそんなものが作られるということは、それだけディアナが王城の人々から愛されているということだ。
言い換えれば、それだけディアナに力があるということでもある。
なにせ西の国の王妃だ、気は抜けない。
赤薔薇の園を分け入るようにして進んでいくと急に開けた場所に出た。
そこには白いテーブルが置いてあり、そのそばには凝った装飾の椅子がいくつか置かれている。そのうちの一つに腰を掛けて紅茶を啜るのは、赤い花も眩むほどの麗人。
「ディアナ殿下」
ディアナ殿下、その人だった。
オリヴィアの呼びかけに気付いたディアナは、オリヴィアを視界にとらえるとティーカップをテーブルにおいてにこりと笑った。
「あら、オリヴィア嬢。お待ちしていたわ。さあさ、こちらに」
物腰の柔らかいディアナの声に緊張しながらスカートの裾を持ち優美に会釈をする。
顔を上げると、ディアナの隣にはアーノルドがいるのが目に映った。
ディアナがいるという緊張感でそれまでアーノルドの存在に気付かなかったオリヴィアは少し驚いたものの、彼が胡散臭く人を子馬鹿にするような笑みを浮かべていて腹が立った。
しかしそれを少しも顔に出すことなく、ディアナに示された席へ腰を掛けた。
「オリヴィア様、ご案内致します」
「はい、宜しくお願い致します」
__さあ、戦いの時だ。
そんな思いがオリヴィアの全身を貫いた。
王宮侍女に案内されたのは庭園だった。
色とりどりの花が咲き乱れる庭園は隅々まで手入れが行き届いており、輝くように咲く花々にオリヴィアはつい目を奪われる。
様々な種類が咲いていると思っていたが、進むほどに赤い薔薇が増えているのに気付いたオリヴィアはつい侍女に話しかけた。
「この辺りは赤い薔薇なのですね」
「花をお好きでいらっしゃるディアナ殿下のために作られた場所ですので」
「ああ、なるほど」
社交界の赤薔薇と呼ばれるディアナのために作られた花園。
王城の一角にそんなものが作られるということは、それだけディアナが王城の人々から愛されているということだ。
言い換えれば、それだけディアナに力があるということでもある。
なにせ西の国の王妃だ、気は抜けない。
赤薔薇の園を分け入るようにして進んでいくと急に開けた場所に出た。
そこには白いテーブルが置いてあり、そのそばには凝った装飾の椅子がいくつか置かれている。そのうちの一つに腰を掛けて紅茶を啜るのは、赤い花も眩むほどの麗人。
「ディアナ殿下」
ディアナ殿下、その人だった。
オリヴィアの呼びかけに気付いたディアナは、オリヴィアを視界にとらえるとティーカップをテーブルにおいてにこりと笑った。
「あら、オリヴィア嬢。お待ちしていたわ。さあさ、こちらに」
物腰の柔らかいディアナの声に緊張しながらスカートの裾を持ち優美に会釈をする。
顔を上げると、ディアナの隣にはアーノルドがいるのが目に映った。
ディアナがいるという緊張感でそれまでアーノルドの存在に気付かなかったオリヴィアは少し驚いたものの、彼が胡散臭く人を子馬鹿にするような笑みを浮かべていて腹が立った。
しかしそれを少しも顔に出すことなく、ディアナに示された席へ腰を掛けた。



