「ああ、頼む」
「では、オリヴィア様。また」
ユアンは美しく会釈をすると城の中へと消えていった。
オリヴィアはそれを呆然と見ていた。
それから隣にいるアーノルドに問いかける。
「お聞きしてもよろしいでしょうか、アーノルド様。私は本当にディアナ殿下にお会いするのですか?」
するとアーノルドはにやりと意地の悪い顔をして笑った。まるで面白いものをみつけたといわんばかりの、オリヴィアが大嫌いな笑顔だった。
「残念ながら、それが姉上の望みだ」
何ということだ。オリヴィアは絶句した。
城を黙って抜け出そうとした不届き物が王太子姉弟に謁見するなど、そんなことがあるはずがない。あってよいはずがない。
一体この王太子は何を考えているのか。そんなに暇人なのだろうか。そんな失礼な考えがオリヴィアの思考を満たしていく。
「せいぜい大人しく準備を整えておくことだな。
心配しなくても、お前の部屋には見張りの兵を増やしておく。次も逃げられるとは思うなよ」
そう言うとアーノルドは城の中へと消えていった。その堂々とした後姿を呆然と見つめているとメイが名前を呼んだ。
「お、お嬢様……」
「メイ。どうやら私達はとんでもない悪魔に捕まってしまったようね」
絶望の色を灯すオリヴィアは自嘲するように笑う。
逃げ道が塞がれていくようで、オリヴィアは自分の未来がアーノルドに奪われていくような感覚がした。
与えられた部屋に戻ったオリヴィアは、扉の両脇に衛兵が配置されているのを見て目を丸くした。
アーノルドの言っていた言葉は本当であったからだ。アーノルドは本当にオリヴィアを逃がす気はないらしい。
部屋から続くテラスは中庭に面しており、飛び降りることが出来れば逃げられるだろうかと思っていたが、いつもは衛兵のいない中庭に複数の衛兵の姿が見える。包囲網は完璧だった。
これはもう逃げられない。
オリヴィアは抵抗する手段がなく、大人しく茶会に参加するしかなかった。
「では、オリヴィア様。また」
ユアンは美しく会釈をすると城の中へと消えていった。
オリヴィアはそれを呆然と見ていた。
それから隣にいるアーノルドに問いかける。
「お聞きしてもよろしいでしょうか、アーノルド様。私は本当にディアナ殿下にお会いするのですか?」
するとアーノルドはにやりと意地の悪い顔をして笑った。まるで面白いものをみつけたといわんばかりの、オリヴィアが大嫌いな笑顔だった。
「残念ながら、それが姉上の望みだ」
何ということだ。オリヴィアは絶句した。
城を黙って抜け出そうとした不届き物が王太子姉弟に謁見するなど、そんなことがあるはずがない。あってよいはずがない。
一体この王太子は何を考えているのか。そんなに暇人なのだろうか。そんな失礼な考えがオリヴィアの思考を満たしていく。
「せいぜい大人しく準備を整えておくことだな。
心配しなくても、お前の部屋には見張りの兵を増やしておく。次も逃げられるとは思うなよ」
そう言うとアーノルドは城の中へと消えていった。その堂々とした後姿を呆然と見つめているとメイが名前を呼んだ。
「お、お嬢様……」
「メイ。どうやら私達はとんでもない悪魔に捕まってしまったようね」
絶望の色を灯すオリヴィアは自嘲するように笑う。
逃げ道が塞がれていくようで、オリヴィアは自分の未来がアーノルドに奪われていくような感覚がした。
与えられた部屋に戻ったオリヴィアは、扉の両脇に衛兵が配置されているのを見て目を丸くした。
アーノルドの言っていた言葉は本当であったからだ。アーノルドは本当にオリヴィアを逃がす気はないらしい。
部屋から続くテラスは中庭に面しており、飛び降りることが出来れば逃げられるだろうかと思っていたが、いつもは衛兵のいない中庭に複数の衛兵の姿が見える。包囲網は完璧だった。
これはもう逃げられない。
オリヴィアは抵抗する手段がなく、大人しく茶会に参加するしかなかった。



