王太子殿下の花嫁なんてお断りです!

町の中心であんなにも大きく聳えている王城は、町にいればどこからでも見ることができる。

けれど王城の中からでは民家がぽつりぽつりと見えるだけで民の姿は見えない。

オリヴィアが感じていた寂しさを、アーノルドも感じていた。それだけではない。その打開策を講じていた。

それはオリヴィアにとって衝撃だった。


「俺がこんなことを思うなど、お前からしたら不思議か?」


少し自虐的な表情を浮かべるアーノルドの言葉に、オリヴィアは図星を突かれたようにどきんと心臓が痛んだ。

なんと答えたら良いのかと思っていると、アーノルドは「まあ、そうだろうな」と薄く笑った。オリヴィアの沈黙を肯定と捉えたらしかった。

それはどこか寂しそうにも思えて、何か声をかけたいと思っていたときにはもう城の門が見えてきて、門の近くで待っていてくれたらしいユアンが出迎えてくれた。


「アーノルド様、オリヴィア様。ご無事で何よりです」


ほっと安心したような表情を浮かべるユアンに、オリヴィアとメイは申し訳なく頭を下げる。


「ユアン様……。ご心配おかけして申し訳ありません」

「いえいえ、オリヴィア様がご無事ならそれだけで十分ですから」


優しい表情のユアンは、アーノルドにちらりと視線を向けるとにやりと笑った。それは面白いものを見つけたといわんばかりの、アーノルドをからかうような目だった。


「良かったですね、アーノルド様。オリヴィア様はもう領地に戻られたかもしれないと申し上げたのに、それでも城を飛び出して城下を探した甲斐がありましたね」

「うるさい。それをオリヴィアの前で語るな」

「何を仰いますか。オリヴィア様がいらっしゃるから話しているに決まっているではないですか」