王太子殿下の花嫁なんてお断りです!

アーノルドはオリヴィアの手を取って美しく微笑む。

彼の口からあふれる言葉はどれもオリヴィアを褒めたたえてくれるものばかりだが、オリヴィアはすでに理解できる量を超えてしまっていた。

嬉しさよりも驚きと戸惑いが先立っている。

そんなオリヴィアに気付いていないらしいアーノルドは、その宝石のような美しい眼差しでオリヴィアの名前を呼ぶ。


「一生、きみを大切にするよ。きみがいつでも笑顔でいられるよう、できる限りのことをすると誓おう」


それから跪いてオリヴィアに手を差し出した。



「ねえ、どうかな。

僕のお嫁さんになってよ」



なんて愛らしい笑顔だろうか。心なしか宝石のような美しいその瞳はうるんでいるようにも見える。

少女よりもきっと可愛らしい笑顔だろう。きっとこの笑顔に敵う人はいない。お願いされて断れる人なんていない。いないのだろうけど。



「えっ、お断り申し上げます」