驚きながらも目を離せないでいると、オリヴィア達の近くからまた別の令嬢が出てきた。
「マリアだけずるいわ!」
オリヴィアと年の近そうな彼女はアーノルドの元に走ってゆく。
それを見つけたアーノルドは、やはり優しく微笑んで彼女を抱き寄せる。
「ねえ、殿下。私達のどちらがお好きなの?」
令嬢達の言葉にアーノルドはとびきりの笑顔を見せてこう告げる。
「どちらとは言えないな。マリア嬢は栗色の髪も美しいし、ルナ嬢は笑顔が素敵だから」
オリヴィアには目の前の光景が信じられなかった。
王太子殿下ともあろうお方がこんなにも女性に甘く優しく接するなんて。
穏やか、優しい、というよりはむしろ、口説いているようにすら見える。
「あんのバカ主……」
ユアンは小声で呟きながら頭を抱えている。オリヴィアは呆気にとられながらもユアンに尋ねた。
「殿下には恋人がいらっしゃるのですか?」
「いいえ、そのような事実は全くもってございません。王太子殿下は特定の女性を作られてはおりません。
それにもしそのような方がいらっしゃるようでしたら、オリヴィア様との見合いの席など設けることはまず有り得ません」
頭を抱えながらもきっぱりと答えるユアンの言葉に謎は深まるばかりだ。
「……では、彼女達は?」
「…伯爵家ご令嬢のマリア様とルナ様でございます。お二方はよくこちらにいらっしゃっていますので」
「恋人ではないのに、いつもああなのですか?」
「…ええ」
オリヴィアは愕然とした。
王太子殿下は、とんだ女たらしだ。
「マリアだけずるいわ!」
オリヴィアと年の近そうな彼女はアーノルドの元に走ってゆく。
それを見つけたアーノルドは、やはり優しく微笑んで彼女を抱き寄せる。
「ねえ、殿下。私達のどちらがお好きなの?」
令嬢達の言葉にアーノルドはとびきりの笑顔を見せてこう告げる。
「どちらとは言えないな。マリア嬢は栗色の髪も美しいし、ルナ嬢は笑顔が素敵だから」
オリヴィアには目の前の光景が信じられなかった。
王太子殿下ともあろうお方がこんなにも女性に甘く優しく接するなんて。
穏やか、優しい、というよりはむしろ、口説いているようにすら見える。
「あんのバカ主……」
ユアンは小声で呟きながら頭を抱えている。オリヴィアは呆気にとられながらもユアンに尋ねた。
「殿下には恋人がいらっしゃるのですか?」
「いいえ、そのような事実は全くもってございません。王太子殿下は特定の女性を作られてはおりません。
それにもしそのような方がいらっしゃるようでしたら、オリヴィア様との見合いの席など設けることはまず有り得ません」
頭を抱えながらもきっぱりと答えるユアンの言葉に謎は深まるばかりだ。
「……では、彼女達は?」
「…伯爵家ご令嬢のマリア様とルナ様でございます。お二方はよくこちらにいらっしゃっていますので」
「恋人ではないのに、いつもああなのですか?」
「…ええ」
オリヴィアは愕然とした。
王太子殿下は、とんだ女たらしだ。



