オリヴィアが目を開けると、そこは地下牢のような場所だった。
おまけに縄で体が縛られて動けない。
今が昼か夜かさえも分からない。
第一、ここはどこだ。
「お目覚めですか、オリヴィア嬢」
牢の向こう、かがり火の石階段にその声の人物の陰がゆっくり降りてくる。こつりこつりと靴音を響かせながら姿を現したのは若い男性とフードを被ったメイだった。
なんでメイがここに。メイから目が離せなくなるが、それと同時にメイが一緒にいる男の正体も気になる。
良い生地の服を身に纏う彼は、王族なのだろう。だとしたら彼の身元は大体分かった。
「西の国の弟王でいらっしゃいますか」
「ご名答。私は西の国の王太子リアムです。お見知りおきを」
短い金髪の髪に、つり目。そして女たらしのような口調。それはどれをとってもアーノルドとは全く異なるものだった。
「なぜこのような真似を。ここから出して頂けますか」
「ええ、あなたが僕のところへ嫁に来てくれるというのならね」
「は?」
その言葉にオリヴィアは目を見開いた。
「伯爵令嬢、幻の令嬢、社交界の百合の花。貴女は貴族社会の中では有名人なんですよ」
つまりこの男は見た目に眩んで結婚を申し込もうとしてきた男なのだとオリヴィアは軽蔑した。
本当に嫌になる。こんな男に嫁ぐくらいなら、まだアーノルドの方がましだなんて思ってしまえるくらいだ。
けれどこの男はそれだけではなかった。
「それに君はあのアンスリナの領主。結婚すれば、アンスリナの土地は実質俺のものになる」
「何ですって?」
怪訝そうな顔をするオリヴィアに、リアムは馬鹿にするようにして笑った。
「本当に何も知らない鳥籠の中の小鳥みたいな娘なんだね。
俺は王太子だ。兄が死ぬまで俺は兄の言うことばかり聞かなければならない。ただ少しさきに生まれただけのことで、こんな屈辱的なことが他にあるかな?」
おまけに縄で体が縛られて動けない。
今が昼か夜かさえも分からない。
第一、ここはどこだ。
「お目覚めですか、オリヴィア嬢」
牢の向こう、かがり火の石階段にその声の人物の陰がゆっくり降りてくる。こつりこつりと靴音を響かせながら姿を現したのは若い男性とフードを被ったメイだった。
なんでメイがここに。メイから目が離せなくなるが、それと同時にメイが一緒にいる男の正体も気になる。
良い生地の服を身に纏う彼は、王族なのだろう。だとしたら彼の身元は大体分かった。
「西の国の弟王でいらっしゃいますか」
「ご名答。私は西の国の王太子リアムです。お見知りおきを」
短い金髪の髪に、つり目。そして女たらしのような口調。それはどれをとってもアーノルドとは全く異なるものだった。
「なぜこのような真似を。ここから出して頂けますか」
「ええ、あなたが僕のところへ嫁に来てくれるというのならね」
「は?」
その言葉にオリヴィアは目を見開いた。
「伯爵令嬢、幻の令嬢、社交界の百合の花。貴女は貴族社会の中では有名人なんですよ」
つまりこの男は見た目に眩んで結婚を申し込もうとしてきた男なのだとオリヴィアは軽蔑した。
本当に嫌になる。こんな男に嫁ぐくらいなら、まだアーノルドの方がましだなんて思ってしまえるくらいだ。
けれどこの男はそれだけではなかった。
「それに君はあのアンスリナの領主。結婚すれば、アンスリナの土地は実質俺のものになる」
「何ですって?」
怪訝そうな顔をするオリヴィアに、リアムは馬鹿にするようにして笑った。
「本当に何も知らない鳥籠の中の小鳥みたいな娘なんだね。
俺は王太子だ。兄が死ぬまで俺は兄の言うことばかり聞かなければならない。ただ少しさきに生まれただけのことで、こんな屈辱的なことが他にあるかな?」